なぜ、断熱材選びで消費者は頭を悩ませてしまうのか?一体何が正しいのか?

『なぜ、断熱材選びで消費者は頭を悩ませてしまうのか?一体何が正しいのか?』

 

-断熱材は何を使えばよいのでしょうか?

展示場では「グラスウールは絶対に使用してはいけない」と聞き、工務店には「発砲ウレタンは絶対に使用してはいけない」と言われた・・・。断熱材について調べていくと、「もう、何を信じて良いかわからなくなってしまいました、、、」という話を受けることもあります。

建築経験者のかたの中には、断熱材選びで悩み疲れてしまい、最終的には一番高額なメーカーさんが安心できるので、そこで決めたという方も多いかと思います。私自身も自宅をつくるときに本気で「断熱材」について調べてみましたが、
どのネット情報をみても特定の商品へ誘導するように不安をあおるものばかりであったため、実際にすべての断熱材の工場や現場見学会に行き労力を費やして調べてきました。

これからご説明する内容は「これが絶対に悪い」というように、ひとつの断熱材へ誘導するような内容はお伝えしません。あくまでも断熱材を追及していった結果の客観的なアドバイスを呈したいと考えておりますので、ぜひ大切な家づくりのひとつの参考にして頂けたらと思います。

-いろんな断熱材があるけど良い断熱材は何?そもそも断熱って何があるの?

今後、2020年以降はの住宅は省エネルギー基準に適合した家でなければ建ててはいけないという方針が打ち出されています。
ところで省エネルギー基準って何?という方へ簡単に説明をしたいと思います。

あなたは、車を購入する際に「燃費」がどの程度か?をチェックしたうえで購入するかと思いますが、車のハイブリッド車が増えてきたように、今後の新築工事ではUA値と値で住まいの「燃費」を示さなければならなくなっていきます。重要なキーワードとなるのでUA値という言葉を覚えておいてください。UA値とは断熱性能を表す数値で、数字が小さいほど、断熱性能が良いことを意味します。地域ごとに、基準が決められていてその基準を満たしましょうというのが2020年省エネルギー基準適合住宅という事です。
今後新築をご検討される上で、同じように燃費で住宅を選ぶ時代になり、住宅の燃費を無視することができなくなるということになります。
断熱材はUA値を計算するうえで、当然“要”となる部材となってきますが、、とても専門的であるだけではなく、非常に多くの種類があるため、どの断熱材を入れるべきなのか、そして選べばいいのかわからなくなる方が多いとされています。

それでは、まず断熱材の施工方法ついて説明していきます。

-「充填断熱」と「外張り断熱」の違いから

【充填断熱とは?】

 

充填断熱とは、木造住宅の柱と柱の間に断熱材を入れる方法です。壁の内側に空間がありますが、その柱と柱の間にある空間に断熱材を入れる、最もオーソドックスな方法です。グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材を壁一面に張ることが多いのですが、セルロースファイバーや粒状のグラスウールを機械で吹き込む「吹き込み工法」や、ボード状に加工した断熱材をはめ込む「パネル工法」も、この重鎮断熱工法に含まれます。

鉄筋コンクリート造では、断熱層が構造躯体の内側にある場合「内断熱」と呼びます。

【充填断熱のメリットは?】
・柱の奥行き分スペースがあるため、厚い断熱材を入れることができる
・オーソドックスな方法であるため、比較的安価に導入できる
・どのような間取りやデザインでも比較的柔軟に対応できる
・用いることができる素材の種類が多い
・外壁仕上げ材に影響しない

【充填断熱断熱のデメリットは?】
・筋交いなどがある場合など、断熱材の種類によっては断熱材をすき間なく詰めることが難しく、断熱性能を著しく落とす原因となりうる
・機密性の確保が難しく、防湿層を設けなければ内部結露を起こす可能性を含む

 

【外張り断熱とは?】
外張り断熱とは、ボード状の断熱材を柱や梁などの構造躯体の外側に張って、木造住宅全体を包む方法です。
すき間なく貼り付けることができることと、室内側にも気密シートを張ることが多いため熱ロスが少ないことから、寒冷地や欧米ではこちらの方法が多く採用されています。
鉄筋コンクリート造の場合は「外断熱工法」と呼ばれます。

【外張り断熱のメリットとは?】
・構造躯体を家の中に入れるため、重鎮断熱と比較して構造材躯体の結露から守りやすい
・断熱材の取り付けが容易である。すき間ができにくいため

【外張り断熱のデメリットとは?】
・構造躯体外側に断熱材を張り付けるため、重鎮断熱に比べて厚い断熱材を張りにくい
・壁に厚みが増すので、狭小敷地では難しい場合もある
・重鎮断熱と比べて、施工コストが高くなる
・重鎮断熱よりは、断熱材自体は経年劣化しやすい
・外壁材をしっかり固定する下地を設置しなければ、外壁材が落下してしまう恐れがある

次に、それぞれの断熱材の種類と違いについて

-断熱材にはどんな種類や違いがあるの?

施工方法について見てみましたが、断熱材の種類を見てみたいと思います。
大きな分類として繊維系の断熱材と、プラスチック・ウレタン系の断熱材があります。これらにもそれぞれ特徴がありますので、よく比較してみてみましょう。

【グラスウールの特徴は?】
グラスウールはもっとも多く使用されている繊維系の代表となる断熱材となります。ガラスなどを溶かし、細い繊維状にして製造されています。近年ではかなり性能・密度が増してきています。厚み、密度が高くなるほど優れた断熱性能を発揮します。柔軟性に富み、木材の乾燥や収縮に対応できます。もともと素材がガラス繊維のためシロアリなどの被害を受けないことや、火災に強いのも大きなメリットとされています。
また、安価な部類とされ、防音効果もあります。楽器演奏や音楽鑑賞をされる方にはグラスウールで吸音対策をされるのが一般的とされています。

【グラスウールのデメリットは?】
グラスウールなどの繊維系断熱材は価格が安価な反面、材料の中に水蒸気を含むと、性能が落ちる可能性があるため、防湿施工や筋違・コンセント・ダクト部分などの施工し難い部分をしっかりと密度を落とさず、また湿気が入らない対策をとったうえで施工しなければなります。要約すると、安価で良い部材ではあるが職人の腕・現場監督のチェック体制がしっかりとされていないとリスクも伴う部材でもあると考えられています。

 

【ロックウールの特徴は?】
スラグや岩などを高温で加工し、細い繊維状にした断熱材となります。
熱につよく、火災の際などには有毒ガスが発生しません。グラスウールなどの繊維製造の断熱材と同様に、防火・防音・吸音性に優れており、充填・外張り・吹付けなどの工法どれにも適用できることが特徴となります。

【ロックウールのデメリットは?】
グラスウールと同じように施工性のリスクを伴う点とグラスウールよりも製造の難易度から多少高価な部材とされています。

 

【セルロースファイバーの特徴は?】
パルプ・古紙などを粉砕し、木質の繊維を利用して作られる断熱材となります。1本1本の繊維の原料にホウ酸などを配合するので、耐火性と防虫効果が高いとされます。機械を使って、柱と柱の間に吹付けるので、グラスウールと違い、施工が難しい場所でも、確実に断熱材を入れられるのが特徴となります。
また、木質繊維のため素材そのものが湿気を吸収・放出することから、結露が起きにくいというメリットがあります。

【セルロースファイバーのデメリットは?】
製造工程が複雑である点と、現場職人ではなく専門の吹込車にて充填していくために繊維系の断熱材に比べて高価な部材とされる点がデメリットとなると考えられます。(繊維系と比較し30~40坪2階建で80~120万高※)それ以外の点は環境的にもメリットが高い部材ですが、「呼吸をする断熱材」をメリットとして謳われる事が多い点については、実際には室内に無垢材・珪藻土やエコカラットなどの吸湿性のある素材を使用したほうが2.5~3倍程度の効果があるといわれているので、室内環境の有効性をとるなら他の素材を利用した方が良いと思われます。

 

【現場発砲の軟質系ウレタンの特徴は?】
水と薬剤の反応で発生する炭酸ガスを利用した技術で、現場で吹付けを行う技術。気密性の高い発砲材で、防音効果も高く発揮する。充填式発砲ウレタンは、少しの隙間に断熱効果を発揮したい場合に施工が容易に出来るのがメリット。また、施工業者の技術の差が生じにくく、冷蔵庫にも使用されている部材で高い断熱性能を発揮します。

【現場発砲の軟質系ウレタンデメリットは?】
繊維系の断熱材に比べても価格が高価な部材とされる点がデメリットとなると考えられます。(繊維系と比較し30~40坪2階建で90~180万高※)ただし、軟質系のウレタンフォームは繊維系の断熱材と異なり白蟻の好物となる原料を使用しているため関東より以南の湿気の多いエリアで基礎や床の断熱材として現場発砲・外皮を削り落とすような現場加工を行うとすると白蟻被害のリスクが高くなる可能性があります。

 

【硬質ウレタンの特徴は?】
ポリイソシアネートとポリオールを主原料に、発泡剤や触媒などを混ぜて生成します。ボード状のものや、現場吹付けやニチハ/FPコーポレーションのように工場で吹き付けされたものを使用タイプなどもあります。断熱材を建物の外側に張り付ける外断熱工法にも適した断熱材で、気泡には熱伝導率が極めて小さいガスが含まれているため、優れた断熱性を持ち、薄くても十分にその効果を発揮します。「自己接着性」という他の断熱材にはない密着性を有しているため、気密精度の高い住宅を比較的容易に施工できます。

【硬質ウレタンのデメリットは?】
繊維系の断熱材に比べても価格が高価な部材とされる点がデメリットとなると考えられます。(繊維系と比較し30~40坪2階建で150~300万高※)それ以外にデメリットは少ないですが、防音性が高いですが逆に吸音性を有していないため、室内の音の反響が気になる方が多い様です。また気密が高いため、換気性能を高める必要があり、合わせて性能を高めるめコストさらに20~30万程度必要になる場合があります。硬質ウレタンは100倍発砲の軟質系のウレタンと異なり白蟻被害の可能性は低くなります。

-結局、一番おすすめの断熱材は何?

ここまで、断熱材の特徴を棲み分けてきましたが、結局何が一番よいの?という点についてまとめていきたいと思います。結論から言うと、コストパフォーマンスで選ぶならばグラスウール。性能で選ぶならウレタンフォームと考えられています。

軟質ウレタンフォームではなく硬質ウレタンフォームが良い理由とは?

私たちも家づくりを行う全国の施工店の一員としてですが、私たちの考えは施工する地域性(湿気・寒さの時期)・お客様の考え方、嗜好、優先度・予算に応じて適材適所で断熱材を選定して使用することをお勧めしています。

とにかく予算は出すから一番良いものを、という方には工場生産の硬質ウレタンをお勧めます。
コストパフォーマンスが一番高いものとしては、次世代省エネ基準をクリアした厚みと密度のグラスウール(現場施工の保証付)をおすすめします。要するに適材適所の選び方、施工の仕方が良いという考え方に帰結するわけですが、
ただし、100倍発砲(水発砲)系の現場吹付けウレタンは湿気の多い関東にお住まいの方にはおすすめしません。その理由だけ説明いたします。

理由としては
①湿気を通す可能性 ②白蟻被害 ③現場で削るためスキン層がなくなる ④地震で剥れる
という理由となりますが、
某ハウスメーカーが使用している アクアフォーム75mm

アクアフォーム70mm 現場発砲

軟質ウレタンは「断熱材内部での結露する心配はありません」と謳われていますが、断熱材と室外側の透湿防水シートの間で結露が生じた際に、透湿性のあるものを使用しているため湿気にさらされる可能性が出てきます。その際に水分にさらされたウレタンは、白蟻被害にあい易くなるというデメリットが生じます。おそらく、ウレタン系メーカーの営業マンに聞いてみていただくと、軟質系のウレタンが白蟻の好きな原料でつくられていることが分かると思います。

実験HP参照 http://www.teoria-houseclinic.com/column/shiroari-dannetsuzai/

シロアリが好きな断熱材はどれ?調べてみた


左からセルローズ、グラスウール、発砲ウレタン

発砲ウレタンの木材は食害を受けて凹んでいます。

よく見ると、発砲ウレタンに穿孔して通り道が形成されています。

シロアリ研究の某有名大学の教授が多かれ少なかれ既存住宅の70%はシロアリの被害にあっているといわれるほど、住宅のシロアリ対策は行なっておくべきだと思われます。

全国の8割の住宅で使われている、「グラスウール」の正しい使用方法とは?

日本の住宅の8割にグラスウールが使用されていると言われています。これをお読みの方でもグラスウールを検討している方も多いと思います。グラスウールの特徴としては、先ほどもご説明したように、施工に手を抜かなければ安価でとてもコスパのもっとも高い断熱材となります。ですので、施工についての注意点をお伝えしたいと思います。

まず以下ご覧ください、次世代省エネ基準の指針を示したものになります。

「住宅の次世代省エネルギー基準と指針」

上の図では施行方法によって、断熱性能が違ってくる資料を抜粋したもので、住宅の省エネルギー基準や指針を示すものとなります。

一番大きな問題は、無知な施工業者と、手抜き工事です。建売住宅が悪いとは断言はしませんが、施工途中に確認ができないことのリスクは高いと考えられます。巷で騒がれているグラスウール批判はその一部「壁をはがすと湿気で真っ黒に」「カビが生えた構造躯体が」など、そこには「やっぱりグラスウールは家をダメにする」と言わんばかりのTV・ネットでなどの情報が氾濫しています。

この図から、施工状態が悪いと 熱還流率が悪くなることが分かります。

ハウスメーカーでは近年悪い施工例の写真や模型で「グラスウールは絶対によくない」という批判をすることで自社選定の断熱材と差別化を計ることが多い様子です。

-断熱施工をちゃんとしてくれる会社か、どのように判断をしたらよいのだろうか?

ではどうしたら、そのような悪い施工をしない会社を選定できるのだろうか?
これから住まいを検討する施工会社にたいして、グラスウールもしくは使用する断熱材ののメリットとデメリットについて聞いてみて下さい、「施工方法についてのこだわりとチェック体制」について説明ができるようでしたら問題が無いと思われますが、逆に「この断熱材が絶対良い」「他の断熱材についての知識を持ち合わせていない」ような会社は少し不安要素が残るかもしれません。
※あくまでもひとつの判断基準のため参考程度にしてください。

-最後に、

今回は断熱材の選定に迷ってしまった方のために、アドバイスとして記しましたが、家づくりを行ううえでは、生活の拠点・環境、趣味嗜好や考え方などは10人10色です。
「この商品なら絶対に良い」という考え方で選定することはなく、どんなものみも一長一短があります。良い所があれば悪い所もある、そこをよく見極めて、優先度を立てていくことが良い家づくりを行うポイントになるのだろうと思います。
今回断熱材については、
①施工する地域性(湿気・寒さの時期)
②お客様の考え方、嗜好、優先度
③予算
に応じて適材適所で断熱材を選定して使用することが良いと結論づけますが、焦らずじっくりと家づくりを愉しんでいただけたらと思います。
もしご質問や疑問、相違点などがありましたら、CLE総合研究所まで直接メールをいただけたらお答えしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

―野田・流山・柏・東葛地域で肩の力を抜いて家づくりを探求していく「くれのいえ」取材担当者が提供する注文住宅ためになる情報提供誌―

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